問題8
環境基本法に規定する事業者の責務に関する記述中、(ア)~(オ)の中に挿入すべき語句(a~h)の組合せとして、正しいものはどれか。
- 事業者は、基本理念にのっとり、その( ア )を行うに当たっては、これに伴って生ずる( イ )の処理その他の公害を防止し、又は( ウ )するために必要な措置を講ずる責務を有する。
- 事業者は、基本理念にのっとり、( エ )するため、物の製造、加工又は販売その他の( ア )を行うに当たって、その( ア )に係る製品その他の物が( オ )となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
- a.事業活動
- b.ばい煙、汚水、廃棄物等
- c.廃棄物
- d.事業活動製品
- e.環境の保全上の支障を防止
- f.環境の保全上の負荷の低減
- g.原材料
- h.自然環境を適正に保全
| 選択肢 | ア | イ | ウ | エ | オ |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | a | c | h | f | g |
| 2 | f | c | e | h | g |
| 3 | a | b | h | e | c |
| 4 | f | b | e | h | c |
| 5 | a | d | f | e | b |
(令和3年)
問題8の解答
正解は「3」です。
問題8の解説
環境基本法第八条に関する問題です。環境保全は国や自治体だけでなく、実際に経済活動を行う「事業者」自身にも明確な責務があることを示す条文です。
第八条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
e-gov 法令検索より引用
2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
言葉を暗記するのではなく、その背景を理解することが重要です。
条文の冒頭は「事業者は、その事業活動を行うに当たって…」とされています。「事業活動=会社や工場が行う生産・販売・サービス全般」を指します。事業活動によって発生した環境への負荷に対して責任を負うべきなのは事業者であるのは当然なことです。
事業活動には必ず「副産物」が出ます。具体的には、工場の煙、工業排水、ごみなどです。これらをまとめて「ばい煙、汚水、廃棄物等」と法律は表現しています。したがって 、(イ) は b.ばい煙、汚水、廃棄物等が入ります。
公害の防止だけでなく、自然そのものを守ることも事業者の責務です。条文には「…又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務」と書かれています。つまり、単なる廃棄物処理にとどまらず、山や川などの自然環境を壊さないように配慮することが求められるのです。
第2項では「事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため…」と明記されています。これは、製品が廃棄物となったときにも環境に悪影響を与えないように考えなさい、という意味。
「 e.環境の保全上の支障を防止」が正解です。
製品は最終的に「廃棄物」になります。例えば、プラスチック製品や電化製品がゴミになったとき、それを適切に処理できるように設計・販売するのも事業者の責任です。したがって 、(オ) は 「c.廃棄物」となります。
本条を噛み砕くと、次のように整理できます。



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