
公害防止管理者の過去問|令和7年 ばいじん・粉じん特論 問1 問題と解説
問題1
ダストの特性に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 空隙率0.5で堆積した層のかさ密度は、粒子密度の1/2である。
- 粒子径が同じ場合、粒子密度が2倍になれば空気力学的粒子径は√2倍になる。
- 粒子径が小さいほど、凝集しにくくなる。
- 見掛け電気抵抗率が高い場合には、静電気による付着力が一層大きくなる。
- 排ガス中の水分や硫酸分を取り込むと、凝集しやすくなる。
問題1の解答
正解は「3」です。
問題1の解説
本問は、ダスト(粉じん)の物性(密度・空隙率)、粒子径の定義(空気力学的粒子径)、凝集(粒子同士がくっついて塊になる現象)、静電気特性(電気抵抗率と帯電の残りやすさ)といった「特性の方向性」を問う問題です。
結論として、粒子径が小さいほど“凝集しにくい”という(3)は、微小粒子ではブラウン運動(熱運動による不規則運動)により衝突が起こりやすく、凝集が支配的になり得るという整理と逆なので誤りです。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 原理・原則:この問題で使う「定義・基本式」を先に押さえます
初学者が再現できるよう、必要な原理を最小セットに整理します。
- 空隙率(ε):堆積層(粉が積もった層)の体積のうち、「すき間(空気の部分)」の割合です。
→ 固体が占める割合は (1−ε) です。 - かさ密度(バルク密度):堆積層全体の密度です。粒子密度(真密度)を とすると、単純モデルでは
- 空気力学的粒子径:沈降・捕集など「空気中での挙動」を等価に表す粒子径で、同じ実粒径でも密度が大きいほど大きく評価されます。空気力学的粒子径が密度の平方根に比例する整理は、学術論文で明示されています。
- 凝集:粒子同士が衝突・付着して数が減り、平均粒径が増える現象です。微小粒子ではブラウン運動による凝集(拡散凝集)が支配的になり得ることが示されています。
- 見掛け電気抵抗率:粉体層として「電気が流れにくい(電荷が逃げにくい)」性質の目安です。静電気障害の議論では見掛け電気抵抗率が重要因子として扱われます。
ステップ2 選択肢1〜5を、原理・式に照らして正誤判定します
1. 空隙率0.5で堆積した層のかさ密度は、粒子密度の1/2である。→ 正しいです。
上の基本式 に を入れると
となり、「粒子密度の1/2」です。
2. 粒子径が同じ場合、粒子密度が2倍になれば空気力学的粒子径は√2倍になる。→ 正しいです。
空気力学的粒子径は、(形状などが同じなら)実粒径×密度の平方根に比例する、という整理が示されています。 よって密度が2倍なら、平方根で 倍になります。
3. 粒子径が小さいほど、凝集しにくくなる。→ 誤りです(本問の正解)。
微小粒子(特にサブミクロン域)では、空気分子との衝突によるブラウン運動が顕著になり、粒子同士が衝突・付着する拡散凝集が支配的になり得る、という説明があります。
したがって、「粒子径が小さいほど凝集しにくい」という方向づけは一般論として逆で、誤りです。
(補足)凝集の起きやすさは、粒径だけでなく個数濃度・表面性状などにも依存しますが、試験の定番整理としては「微小粒子ほどブラウン運動の影響で凝集が重要になり得る」を押さえます。
4. 見掛け電気抵抗率が高い場合には、静電気による付着力が一層大きくなる。→ 正しいです。
見掛け電気抵抗率が高い=電荷が逃げにくいので、帯電が残りやすく、静電気障害(付着・凝集・放電など)が問題化しやすい、という整理になります。静電気障害の議論で「見掛けの電気抵抗率」が重要因子として扱われることが示されています。よって「抵抗率が高いほど静電気による付着力が問題化しやすい」という趣旨は妥当です。
5. 排ガス中の水分や硫酸分を取り込むと、凝集しやすくなる。→ 正しいです。
粉体の凝集性は湿度の影響を強く受け、湿度が高いと粒子接点に水分が凝縮して液橋(えききょう:粒子間をつなぐ液体の“橋”)を作り、凝集力が増す、という説明があります。
硫酸分は吸湿性が高く、結果として水分保持・粘着性の増加を通じて凝集・付着を促進しやすい方向に働くため、本肢は正しい方向の記述です(試験的には「水分・酸性成分の取り込み→べたつき→凝集しやすい」で判断します)。
問題のポイント
- 空隙率εと かさ密度:。ε=0.5なら「半分」です。
- 空気力学的粒子径:実粒径が同じなら、密度の平方根に比例するため、密度2倍→粒径倍。
- 凝集:微小粒子ではブラウン運動による凝集が重要になり得るため、「小さいほど凝集しにくい」は逆になりやすいです。
- 湿度(水分)は液橋を作って凝集を強める代表因子です。


コメント