公害防止管理者の過去問|令和6年 ばいじん・粉じん特論 問10  問題と解説

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問題10

バグフィルターの運転要領と維持管理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ダスト一次付着層が未形成と予測される場合は、プリコート粉を供給するとよい。
  2. 高温のガスを処理する場合は、ガスをろ布の常用耐用温度以下に冷却してからバグフィルターに導入する。
  3. 湿りダストを処理するプロセスでは、結露によるろ布の目詰まりや、結露水による捕集ダストの付着・固着による排出トラブルを生じやすい。
  4. 燃焼ガスを含む処理ガスに対しては、酸露点以下の温度で運転する。
  5. 火災・粉じん爆発性のダストを処理する場合、バグフィルターの内部は堆積の生じない構造とする。

問題10の解答

正解は「4」です。

問題10の解説

本問は、バグフィルター(ろ過式集じん器)の運転管理で最重要となる ①一次付着層(ダストケーキ)形成、②温度管理(露点・酸露点)、③湿りの回避、④火災・粉じん爆発の予防 を、選択肢ごとに正誤判定させる問題です。

結論として、燃焼ガスを含む処理ガスは 「酸露点以下で運転する」のではなく、酸露点以上(実務では酸露点+一定余裕)で運転して凝縮酸(硫酸等)の生成を避ける のが原則です。

したがって(4)が誤りです。乾式集じん装置では、酸露点以下にならないよう酸露点+20℃以上で運転されるという整理が学術文献で示されています。

解答に至るまでのステップ

ステップ1 原理・原則を確認します(用語を定義してから判断します)

  • 一次付着層(だすといちじふちゃくそう):ろ布表面や織目に残る“残留粒子層”で、これがフィルターとして働き、その後のばいじん捕集性能を安定させます(ろ布が粉じんを捕る主役になるというより、「一次付着層が主に捕集に寄与する」イメージです)。自治体の施設計画資料でも、堆積粒子層で捕集し、残留粒子層を第一次付着層と呼ぶことが説明されています。
  • プリコート粉:運転初期など一次付着層が未形成のときに、あらかじめ粉体を付着させて「保護層/一次集じん層」を作るために用いる考え方です。プレコートは、使用前にろ布の保護層や一次集じん層を形成する意味だと学術論文で説明されています。
  • 露点:ガス中の水蒸気が冷えて液体の水として結露し始める温度です。結露すると、ろ布が濡れて粉じんが泥状化・固着しやすく、目詰まりや排出トラブルにつながります(=「布を濡らさない」が運転管理の核心になります)。
  • 酸露点:燃焼排ガス中のSOx等から生じる硫酸蒸気が凝縮し始める温度です。酸露点以下では硫酸の凝縮が増え、腐食が最大化し得ることが環境省資料で説明されています。
    → したがって、燃焼ガス系では酸露点以下運転は「腐食・固着・閉塞リスク」を上げる方向です。

ステップ2 各選択肢を、根拠に基づき正誤判定します

1. ダスト一次付着層が未形成と予測される場合は、プリコート粉を供給するとよい。
正しいです。

一次付着層が形成されていない立上げ直後は、捕集性能の不安定化やろ布への直接ダメージが問題になり得ます。プレコートは「使用前にろ布の保護層や一次集じん層を形成する」ものだと学術論文で明確に説明されています。したがって(1)は運転要領として妥当です。

2. 高温のガスを処理する場合は、ガスをろ布の常用耐用温度以下に冷却してからバグフィルターに導入する。
正しいです。

ろ布には材質ごとに耐熱限界(常用耐用温度)があり、これを超えると劣化・破損リスクが増大します。実務でも、焼却排ガスはバグフィルター前で温度を下げて運用する系が一般的で、環境省資料のフロー図でも排ガスを冷却(急冷)してバグフィルターで捕集する説明があります。また、バグフィルタ材料の耐熱温度の限界を考慮して運転温度が決められる旨が学術論文で述べられています。

3. 湿りダストを処理するプロセスでは、結露によるろ布の目詰まりや、結露水による捕集ダストの付着・固着による排出トラブルを生じやすい。
正しいです。

「結露=ろ布を濡らす」ことは、粉じんの泥状化・固着、差圧上昇(目詰まり)を招きやすく、排出(ホッパや排出機構)も不調になりがちです。バグフィルターは堆積粒子層で捕集し、圧力損失が上がれば払い落としで維持するという基本構造であるため、固着で払い落ちにくくなることは運転維持に直結します。 さらに、酸露点以下で凝縮酸が増え腐食・付着が悪化し得る点は環境省資料でも整理されています。
よって(3)は正しい方向の記述です。

4. 燃焼ガスを含む処理ガスに対しては、酸露点以下の温度で運転する。
誤りです。
酸露点以下では硫酸等が凝縮しやすく、腐食・付着・閉塞の原因になります。環境省資料でも「酸露点以下 15~40℃で硫酸の凝縮量が最大となり、酸による腐食も最大となる」趣旨が説明されています。

また、乾式集じん装置はダスト付着・灰詰まり・腐食を避ける観点から、装置各部の温度が酸露点以下にならないよう 酸露点+20℃以上で運転されている という学術整理があります。したがって(4)の「酸露点以下で運転する」は逆であり、誤りとなります。

5. 火災・粉じん爆発性のダストを処理する場合、バグフィルターの内部は堆積の生じない構造とする。
正しいです。

粉じん爆発は「可燃性粉じんが堆積し、何らかの契機で舞い上がって爆発範囲濃度に達する」ことが典型的なシナリオです。実際に、集じん設備に関連する粉じん爆発災害の調査報告(労働安全衛生総合研究所の災害調査報告書)でも、集じん機バグフィルターに付着したトナーの清掃作業等が記載され、粉じんの堆積・管理が事故文脈で重要になることが読み取れます。

よって、(5)は予防原則として正しいです。

問題のポイント

  • 一次付着層(第一次付着層)はバグフィルターの捕集を安定させる“実質的なフィルター層”で、運転初期に未形成ならプリコートで補う発想が成り立ちます。
  • 露点(結露)は「ろ布を濡らす」=目詰まり・固着・排出不良の引き金になりやすいので、保温・温度管理が運転維持の核心です。
  • 酸露点は燃焼排ガス中の硫酸等が凝縮し始める温度で、酸露点以下では腐食が増大し得るため、原則として酸露点以上(実務では余裕温度を見込む)で運転します。
  • 粉じん爆発・火災の観点では、堆積を生じにくい構造・清掃性・温度監視等の予防策が重要です。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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