公害防止管理者試験の過去問|公害総論:環境基本法に関する問題⑦

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問題7

環境基本法第二章に定める環境の保全に関する基本的施策に関する記述中、(ア)~(エ)の中に挿入すべき語句(a~f)の組合せとして、正しいものはどれか。

この章に定める環境の保全に関する( ア )及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

  1. 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の( イ )が良好な状態に保持されること。
  2. 生態系の( ウ )、野生生物の種の保存その他の生物の( ウ )が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
  3. 人と自然との( エ )が保たれること。

語群
a. 施策の策定
b. 措置
c. 自然的構成要素
d. 多様性の確保
e. 調和
f. 豊かな触れ合い

選択肢
adfe
dcef
abde
bcfd
acdf

(令和3年)

問題7の解答

正解は「5」です。

問題7の解説

条文で使用されている適切な語句を選択する問題です。まず、問題7で引用されている環境基本法第二条の条文は以下のとおりです。

第十四条 この章に定める環境の保全に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。
一 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
二 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
三 人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。

e-gov 法令検索より引用

(ア) 「施策の策定」

条文には「環境の保全に関する施策の策定及び実施」と書かれています。ここで重要なのは、環境問題は単に「対応する」だけでなく、国や自治体が計画を立てて(策定)、実際に実行(実施)する必要があるということです。

  • 「施策の策定」=国や自治体が計画をデザインすること
  • 「実施」=計画を現実に動かすこと

したがって、(ア)には「a.施策の策定」が入ります。


(イ) 「自然的構成要素」

条文では、大気・水・土壌などが挙げられています。これらは環境を構成する基本的な「パーツ」であり、法律上は自然的構成要素と呼ばれます。こればかりは名称を覚えるしかありません。

  • 措置=対策のことなのでここでは文脈が合わない。
  • 多様性=生態系の説明部分に使う言葉。

(ウ) 「多様性の確保」

自然社会を形成する重要な要素として生物の多様性は必要不可欠です。生物の多様性とは、単に動植物の種類が多いことを意味するのではなく、地球の長い歴史の中で育まれてきた生物たちの相互的な繋がりを示しています。人間のあらゆる活動が生物多様性を脅かさないようにすることは環境基本法が掲げる目的のひとつなのです。よって、「多様性の確保」という言葉が入ります。

(エ) 「豊かな触れ合い」

人間は自然と切り離して生きることはできません。法律は「自然をただ保護する」だけでなく、「人が自然と健全に関わり合うこと」も大切だとしています。そのため、「豊かな触れ合い」という言葉が入ります。「調和」でも意味が成立するため、条文を暗記している必要があるのが難点です。

本条を噛み砕くと、次のように整理できます。

施策は「策定と実施」が基本であること

守る対象は「自然的構成要素(大気・水・土など)」であること。

生態系は「多様性の確保」がキーワードであること。

自然と人間社会との関わりは「豊かな触れ合い」を強調していること

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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