公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問15  問題と解説

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問題15

JISによる、温度80℃の排ガス中ダスト濃度測定のための試料採取で、円形ろ紙を用いる場合の記述として、誤っているものはどれか。

  1. 有効直径30mm以上のものを用いる。
  2. ろ紙はあらかじめ105~110℃で、十分乾燥する。
  3. ろ紙を通るガス流速が1m/s以上になるように、吸引ノズル口径及びろ紙の寸法を選ぶ。
  4. 吸引ガス量は、ろ紙の捕集面積1cm2あたりのダスト捕集量が0.5mg程度になるように設定する。
  5. ひょう量用の天びんは、感量0.1mg以下のものを用いる。

問題15の解答

正解は「3」です。

問題15の解説

解答に至るまでのステップ

ステップ1 原理・原則を確認します(JISにおける円形ろ紙採取の考え方)

JISによる排ガス中ダスト濃度測定(ろ紙捕集・ひょう量法)では、「捕集したダストの質量増加を正確に量ること」と「ろ紙自体の性質(水分、耐熱性、流速条件)が測定誤差の原因にならないこと」が重要です。このため、JISでは「ろ紙の寸法」「乾燥条件」「ろ紙通過流速」「捕集量の目安」「天びん性能」について、誤差を抑えるための具体的な条件が体系的に定められています。

ステップ2 選択肢1が正しい理由を確認します

1.有効直径30mm以上のものを用いる。

円形ろ紙は、十分な捕集面積を確保し、局所的な目詰まりや流速偏りを防ぐ必要があります。そのため、JISでは有効直径30mm以上の円形ろ紙を使用することが規定されています。これは、捕集面積が小さすぎるとダストが集中して捕集され、圧力損失や捕集効率の変動が大きくなるためです。

したがって、選択肢1はJISの要求に合致しており正しいです。

ステップ3 選択肢2が正しい理由を確認します

2.ろ紙はあらかじめ105~110℃で、十分乾燥する。

ダスト濃度測定では、ろ紙の「質量差」を測定します。そのため、ろ紙に含まれる水分などが残っていると、ダスト以外の質量変化が測定値に混入します。この影響を防ぐため、JISではろ紙を105~110℃で十分乾燥し、その後デシケーター中で冷却してから秤量することを求めています。これは水分を除去し、恒量状態に近づけるための基本操作です。よって、選択肢2は正しいです。

ステップ4 選択肢3が誤っている理由を確認します(本問の正解)

3.ろ紙を通るガス流速が1m/s以上になるように、吸引ノズル口径及びろ紙の寸法を選ぶ。

円形ろ紙を通過するガス流速は、大きくしすぎると捕集の安定性が低下し、ダストの再飛散・ろ紙の損傷・捕集効率の低下といった問題が生じます。そのため、JISでは円形ろ紙を用いる場合、ろ紙を通るガスの見掛け流速は一般に0.5m/s以下になるように、ノズル口径やろ紙寸法を選定するという考え方が示されています。

選択肢3は「1m/s以上になるようにする」としており、これはJISの考え方と方向が逆です。したがって、選択肢3が誤りとなります。

ステップ5 選択肢4が正しい理由を確認します

4.吸引ガス量は、ろ紙の捕集面積1cm²あたりのダスト捕集量が0.5mg程度になるように設定する。

捕集量が少なすぎると秤量誤差の影響が相対的に大きくなり、逆に多すぎるとろ紙の目詰まりや圧力損失が問題になります。このため、JISでは円形ろ紙の場合、捕集面積1cm²あたり約0.5mg程度となるように吸引ガス量を設定する目安が示されています。

これは「測定精度と操作性のバランス」をとるための代表的な基準値です。よって、選択肢4は正しいです。

ステップ6 選択肢5が正しい理由を確認します

5.ひょう量用の天びんは、感量0.1mg以下のものを用いる。

排ガス中ダスト濃度測定では、捕集されるダスト量はmgオーダーとなります。このため、秤量に用いる天びんの感量が粗いと、測定値そのものに大きな不確かさが生じます。JISでは、ダスト濃度測定に用いる天びんとして、感量0.1mg以下の性能を求めています。したがって、選択肢5は正しいです。

問題のポイント

  • この問題は数値暗記ではなく、「なぜその条件が必要か」を理解しているかを問う典型問題です。
  • 特に狙われやすいのはろ紙通過流速で、「大きくする」のではなく、捕集の安定性確保のために抑えるという考え方が重要です。
  • 円形ろ紙では、
    • 有効直径:30mm以上
    • 乾燥:105~110℃
    • 捕集量:0.5mg/cm²程度
    • 天びん感量:0.1mg以下
      という条件を一つのセットとして整理して覚えると、再現性高く解答できます。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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