
公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問14 問題と解説
問題14
ISによる排ガス中ダスト試料の採取に関する記述中、ア、イの( )の中に挿入すべきろ紙の種類の組合せとして、正しいものはどれか。
JISでは、「排ガス中に硫酸ミストなどを含み、測定値に影響を及ぼすおそれがある場合は、これらとの反応を起こさない( ア )、又は硫酸で処理した( イ )を用い、試料を採取したろ紙は250℃程度で約2時間加熱し、デシケーター中で室温まで冷却した後、ひょう量する。」とされている。
| 選択肢 | ア | イ |
|---|---|---|
| 1 | ふっ素樹脂ろ紙 | シリカ繊維ろ紙 |
| 2 | ふっ素樹脂ろ紙 | メンブレンろ紙 |
| 3 | ふっ素樹脂ろ紙 | ガラス繊維ろ紙 |
| 4 | メンブレンろ紙 | ガラス繊維ろ紙 |
| 5 | メンブレンろ紙 | シリカ繊維ろ紙 |
問題14の解答
正解は「1」です。
問題14の解説
解答に至るまでのステップ
ステップ1 まず「この空欄が何を意味するか(要求性能)」を整理します
問題文の記述は、「排ガス中に硫酸ミストなどがあると、ろ紙や捕集物が影響を受けて“ダスト質量”が正しく量れないことがある」ため、ろ紙の性質(反応性・耐熱性)で対策するという趣旨です。
実際に、JISでは、硫酸ミストなどの影響が疑われる場合に、
- 硫酸ミストなどと反応を起こさないろ紙を用いる
- 採取後、約250℃で約2時間加熱→デシケーターで冷却→ひょう量する
としたうえで、注として「ふっ素樹脂製ろ紙」および「硫酸によって処理したシリカ繊維製ろ紙」を明示しています。 したがって、硫酸ミスト対策として適切な性質をもつろ紙を選ぶ問題です。
ステップ2 候補となる「ろ紙の性質」を比較し、(ア)(イ)が満たすべき条件を決めます
選択肢に出てくる代表的なろ材の性質は、少なくとも次の2軸で比較すると判断しやすいです。
この「性質比較」から、空欄の意味を次のように置けます。
- (イ)= 硫酸で処理した材料 → JIS注で明示されている「硫酸処理シリカ繊維」タイプ
- (ア)= 硫酸ミストと反応(または吸着)しにくい材料 → 化学的に安定で、吸湿もしにくいもの
ステップ3 (ア)に入るろ紙を“性質”から絞ります(ア=反応しにくい)
(ア)は「硫酸ミストなどと反応を起こさない」です。ここで選択肢中の各ろ紙の性質を比較します。
- ふっ素樹脂ろ紙(PTFE等):フッ素樹脂は耐薬品性・耐熱性などに優れる材料です。 さらに、ろ過材の特性整理では「ふっ素樹脂」は使用温度250℃以下、吸湿性が極小として示されています。
→ 硫酸ミスト影響下で「反応しにくい側」に置くのが合理的です。 - メンブレンろ紙:特性整理では使用温度110℃以下とされています。そもそもJIS本文が求める「250℃程度で約2時間加熱」に耐えにくい前提になるので、硫酸ミスト対策用の(ア)としては不利です。
以上より、(ア)は ふっ素樹脂ろ紙が最も適合します。
ステップ4 (イ)に入るろ紙を“性質”から確定します(イ=硫酸処理する対象)
(イ)は「硫酸で処理した( )」です。ここはJISが注で具体例を明示しており、“硫酸によって処理したシリカ繊維製ろ紙”があるとされています。また、特性整理でもシリカ繊維は高い使用温度域(1000℃以下)などが示され、硫酸ミストの影響がある文脈で“反応・吸着しにくいろ材”として扱われています。
したがって、(イ)は シリカ繊維ろ紙が適合します。
問題のポイント
- この問題は暗記ではなく、JISが注記で具体的に示しているろ紙の種類をそのまま問う形式です。硫酸ミスト等の影響がある場合のろ紙として 「ふっ素樹脂製ろ紙」と「硫酸によって処理したシリカ繊維製ろ紙」が明示されています。
- (ア)は「反応を起こさない」、(イ)は「硫酸で処理した」という「条件の言い換え」なので、文言に引きずられず JISが挙げる具体例に直結させるのが最短です。
- 後半にある「250℃で約2時間加熱してひょう量」も、硫酸ミスト等の影響を考慮した取り扱い条件としてJIS本文に記載されている手順です(ろ紙の扱い手順までセットで問われやすい箇所です)。


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