
公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問7 問題と解説
問題7
ろ布の表面加工法の目的を示す表において、(ア)~(ウ)の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。

| 選択肢 | ア | イ | ウ |
|---|---|---|---|
| 1 | コーティング加工 | 膜加工 | ディッピング加工 |
| 2 | 膜加工 | 平滑加工 | コーティング加工 |
| 3 | ディッピング加工 | コーティング加工 | 平滑加工 |
| 4 | コーティング加工 | ディッピング加工 | 膜加工 |
| 5 | ディッピング加工 | コーティング加工 | 膜加工 |
問題7の解答
正解は「4」です。
問題7の解説
本問は、集じん用ろ布(バグフィルター用ろ布)に施す表面加工を、「主な目的(○)」と「副次的に生じる効果(△)」で対応づける概念問題です。まず押さえるべき大前提は、ろ布の「表面加工」は、規格上も、ろ過特性を改善するための加工”として位置づけられている点です。
JIS Z 8908(集じん用ろ布)では、表面加工を「ろ過特性を改善するための,ろ布表面などの加工」と定義し、表面加工の種類として コーティング加工・ディッピング加工・膜加工(ラミネート加工など)・平滑加工(カレンダー加工など)・毛焼加工を明示しています。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 表の記号(○と△)と、表面加工の“対象範囲”を確認する
このステップでは、表の○が「主目的」、△が「副次的効果」であることを前提に、(ア)〜(ウ)の行が何を意味するかを読み取ります。あわせて、用語が曖昧にならないよう、加工法名が規格上の正式な区分であることを確認します。
JIS Z 8908は、表面加工を「ろ過特性を改善するための加工」と定義し、表面加工の記号として C=コーティング加工、D=ディッピング加工、F=膜加工(ラミネート加工など)、M=平滑加工、S=毛焼加工を示しています。
(根拠URL)
- JIS Z 8908(集じん用ろ布):https://kikakurui.com/z8/Z8908-1998-01.html
ステップ2 表の各行(ア)(イ)(ウ)が示す「主目的」のパターンを整理する
画像の表は次の構造です(○=主目的、△=副次効果)。
- (ア):捕集性○、剥離性○、撥水・撥油性△
- (イ):剥離性△、耐食性○、撥水・撥油性○
- (ウ):捕集性○、剥離性○
ここで重要なのは、(イ)だけが 耐食性○+撥水・撥油性○という“化学的・表面エネルギー的な耐性付与”の色が強く、(ア)(ウ)は 捕集性○+剥離性○**という“ろ過性能と清掃性(払い落とし)”の色が強い点です。
ステップ3 公的機関の情報で「捕集性(表面で捕集が進む)」の考え方を押さえる
捕集性の議論を確実にするために、バグフィルターの捕集機構の前提を公的資料で確認します。環境省の資料では、集じん施設としてバグフィルターが一般的であることを前提に評価が行われています。
また、ろ布表面を“コーティングしたバグフィルター”がサブミクロン粒子の捕集にも有効であり、表面状態(表面側の層)を操作することが捕集性に影響し得ます。
ステップ4 (イ)→ディッピング加工、(ウ)→膜加工を先に確定し、残りを(ア)に割り当てて結論を出す
ここからが本問の実戦的な解き方です。表のパターンが最も特徴的な行から確定します。
- (イ):耐食性○+撥水・撥油性○(剥離性△)
「耐食性(耐薬品性)と撥水・撥油性を主目的として付与する」という狙いは、ろ材を薬液に浸して性質を付与するディッピング加工(浸漬処理)の典型的な整理です。 - ※JISは加工種別を定義・区分します(D=ディッピング加工)が、目的(耐食・撥水撥油)までは本文に明記していません。そのため本問では、(イ)の“主目的が化学的耐性・撥水撥油”という特徴から、試験で用いられる標準整理としてディッピングに対応づけます。
- (ウ):捕集性○+剥離性○
「捕集性と剥離性の両立」を最も強く狙うのが、表面ろ過を強化する膜加工(ラミネート加工など)という位置づけです。JISでも膜加工を表面加工の一類型として明示しています(F=膜加工(ラミネート加工など))。 - (ア):残り=コーティング加工
(イ)=ディッピング、(ウ)=膜加工が決まれば、残る(ア)は コーティング加工です。さらに、(ア)は「捕集性○・剥離性○」に加え「撥水撥油△」が付いています。これは、コーティングが表面状態を調整して捕集・払い落とし(剥離)に寄与しつつ、材料次第で撥水撥油が“副次的”に付く、という表の意図と一致します。加えて、環境省資料でも「ろ布表面をコーティングしたバグフィルター」が微粒子捕集に有効と述べられており、コーティングが捕集性側に寄与する整理を補強します。
以上より、(ア)コーティング加工/(イ)ディッピング加工/(ウ)膜加工で、正解は4となります。
問題を解くポイント
この問題で最も重要なのは、加工名の語感ではなく、表の○(主目的)の並びを見て「狙っている性能が何か」を先に決めることです。特に、耐食性○+撥水撥油性○という組合せは他の加工より特徴が強く、ここをディッピング加工として固定すると、残りは自然に決まります。
誤答が生じやすいのは、「撥水・撥油=膜」という印象で短絡し、(イ)を膜加工に寄せてしまうケースです。しかし、本問の(イ)は撥水撥油が○であるだけでなく、耐食性も○であり、むしろ“処理剤を付与して性質を持たせる”発想に近い行です。
本番では「(イ)の“耐食○+撥水撥油○”を最初にディッピングで固定し、(ウ)の“捕集○+剥離○”を膜加工で固定し、残りを(ア)=コーティングとする」のが、最短かつ再現性の高い見分け方です。


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