
公害防止管理者の過去問|令和3年 汚水処理特論 問9 問題と解説
問題9
汚泥の脱水に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ルースのろ過方程式に従う場合、ヌッチェ試験で求めたろ過時間θとろ液量Vは、θ/V対Vでプロットすると直線関係が得られる。
- ろ過脱水のためには、ケーキ比抵抗は大きいほどよい。
- ろ過助剤には、ケイ藻土、おがくず、セルロースなどがある。
- ケーキに圧縮性がある場合、ケーキ比抵抗はろ過圧力が高くなると大きくなる。
- 消化汚泥のろ過脱水の前処理として、汚泥の水洗が有効な場合がある。
問題9の解答
正解は「2」です。
問題9の解説
この問題は、用語の意味と「ろ過が進みやすい条件」を理解しているかを問う概念問題です。結論から言うと、ろ過脱水では「水が抜けやすい=抵抗が小さい」ほど有利です。
したがって、「ケーキ比抵抗(=ろ過を邪魔する抵抗)が大きいほどよい」とする選択肢2は、方向が逆で誤りになります。
ここで、先に日常の言葉でイメージを作ります。ろ過脱水は、コーヒーフィルターに似ています。フィルターの上に「かす(ケーキ)」が溜まると、水はその層を通って下に抜けます。このとき、その“かすの層”がぎゅっと詰まって水の通り道が少ないほど、水は抜けにくくなります。
この「抜けにくさ」を、専門用語ではケーキ比抵抗(ケーキが水の流れに与える抵抗の大きさ)と呼びます。言い換えると、ケーキ比抵抗が大きい=水が通りにくい=ろ過が進みにくいです。よって、ろ過脱水のためには「ケーキ比抵抗は小さいほどよい」が基本方向になります。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 「誤っているもの」を選ぶ問題だと確認する
このステップでは、問題文の要求が「正しいもの」ではなく「誤っているもの」を1つ選ぶことだと確認します。理由は単純で、方向が逆の記述(例:「大きいほど良い/小さいほど良い」)を見つけた時点で、最短で正解に到達できるからです。あわせて、この設問は数値計算や条文当てではなく、用語の意味で判断する概念問題だと位置づけます。ここでの参照対象は法令ではなく、教科書的に確立した「ろ過の基本概念(抵抗が大きいほど流れにくい)」です。
ステップ2 各選択肢から“判断に効く言葉”を抜き出す
このステップでは、選択肢の中から結論を左右する語を抜き出します。理由は、ろ過脱水の問題は「抵抗」「圧力」「直線関係」「助剤」「前処理」のようなキーワードで正誤が決まることが多く、そこに注目すると迷いが減るからです。具体的には、次のようにメモします。
- 1:ルースのろ過方程式/ヌッチェ試験/θ/V対V/直線
- 2:ケーキ比抵抗/大きいほどよい
- 3:ろ過助剤/ケイ藻土・おがくず・セルロース
- 4:圧縮性/圧力が高いほど比抵抗が大きい
- 5:消化汚泥/前処理/水洗/有効な場合がある
ステップ3 「ケーキ比抵抗」の意味を日常の言葉で言い換える
このステップでは、「ケーキ比抵抗」が“何の大きさか”を言い換えます。理由は、専門用語のままでは「大きいほど良い」のような言い回しに引っ張られやすく、意味に戻るのが最も確実だからです。日常の言葉では、ケーキ比抵抗は「ケーキ(汚泥の固まり)が水の通り道をどれだけ邪魔するか」という“邪魔の強さ”です。正式用語では、これをケーキ比抵抗と呼びます。したがって、「比抵抗が大きい=邪魔が強い=水が抜けにくい」という対応関係が作れます。
ステップ4 選択肢2を“意味”に照らして正誤判断する
このステップでは、選択肢2の文を、そのまま意味に翻訳して判断します。理由は、ここが最も分かりやすい“方向が逆”の罠になっているからです。選択肢2「ケーキ比抵抗は大きいほどよい」を翻訳すると、「水の通り道を邪魔する力は強いほどよい」になります。
しかし、ろ過脱水でやりたいのは「水を抜く」ことなので、邪魔は弱い方が良いはずです。よって、ろ過脱水の目的(できるだけ水を通す)と矛盾するため、選択肢2が誤りと確定します。
ステップ5 残りの選択肢が“明確に逆向き”でないことを確認して確定する
このステップでは、残り(1・3・4・5)が「基本方向(抵抗が増えるほど通りにくい)」と正面衝突していないことを確認します。理由は、本番で「2が怪しいが、他にも罠があるのでは」と不安になる受験者が多く、最後の安全確認が得点を安定させるからです。
- 1は「Ruth式に従うなら直線になる」という条件付きの整理方法で、方向が逆の主張ではありません。
- 3は「ろ過助剤の例」で、否定しにくい列挙です。
- 4は「圧縮性があると圧力上昇で詰まりやすくなる」という方向で、抵抗増加と整合します。
- 5は「有効な場合がある」と限定しており、断定的誤りとしては扱いにくい表現です。
以上より、誤りは2で確定です。
問題のポイント
この問題の核心は、「比抵抗」という言葉に“良い・悪い”の評価が付いていないため、受験者が文章の雰囲気で誤判断しやすい点にあります。特に、選択肢2は、「大きいほどよい」という一見ポジティブな言い回しで、初心者が引っ張られやすい作りです。
誤答しやすい思考の流れは次の通りです。ろ過脱水は「ケーキを作って水を抜く」ので、ケーキが“しっかりしている”方が良さそうだ、と連想し、そのまま「比抵抗が大きい=良いケーキ」と短絡してしまいます。しかし実際には、ケーキがしっかり詰まるほど水の通路が減り、脱水は進みにくくなります。
本番での見分け方はシンプルで、「比抵抗=邪魔の強さ」と言い換え、“邪魔は弱い方が水が抜ける”に戻って判断することです。


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