
公害防止管理者の過去問|令和3年 汚水処理特論 問7 問題と解説
問題7
ナノろ過法と逆浸透法に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 逆浸透法は、水は透過するが、溶質はほとんど透過しない性質を持つ逆浸透膜(半透膜)を用いる膜処理法である。
- U字型の管の途中に半透膜を設置し、その膜の左右に濃厚溶液と希薄溶液をそれぞれ注ぐと、浸透圧によって希薄溶液側から濃厚溶液側に水が移動して水位差が生じる。
- U字型の管の途中に半透膜を設置し、その膜の左右に濃厚溶液と希薄溶液をそれぞれ注いだとき、濃厚溶液側に、ある一定以上の圧力をかけると、濃厚溶液側の水を、半透膜を透過して希薄溶液側に移動させることができる。
- 実用化されている逆浸透膜には、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド系などが用いられる。
- ナノろ過法は、逆浸透膜より操作圧力が高くなるが、塩化ナトリウムの除去率を高めることができる。
問題7の解答
正解は「5」です。
問題7の解説
この問題は、ナノろ過(NF)と逆浸透(RO)を「何がどの程度除去できるか」「どれくらいの圧力が必要か」という基本整理で判断する問題です。結論から言うと、NFは一般にROより“低い圧力”で運転され、食塩(NaCl)の除去率はROほど高くありません。したがって、5が誤りになります。
まず、用語を最小限で整理
- 浸透(osmosis):半透膜をはさんで「薄い側→濃い側」へ水が移動する現象。U字管に半透膜を入れると水位差ができ、これを止めるのに必要な圧力が浸透圧です。
- 逆浸透(RO):浸透圧より大きい圧力を濃い側にかけ、水の移動方向を逆にして、水を取り出す(脱塩できる)方法です。
- ナノろ過(NF):ROとUFの中間的な膜で、ROほど強い脱塩はしないが、用途によって有効(例:硬度成分や一部有機物の低減)。NFは「低圧RO(ルーズRO)」と呼ばれることもあります。
各選択肢の検討
1. 逆浸透法は、 水は透過するが、溶質はほとんど透過しない逆浸透膜(半透膜)を用いる膜処理法である。
正しい。ROは半透膜に圧力をかけて水を透過させ、溶質の透過を強く抑えることで脱塩・高度処理を行います。
2. U字型の管…希薄溶液側から濃厚溶液側に水が移動して水位差が生じる。
正しい。浸透の基本現象そのものです(薄い側→濃い側へ水が移動)。
3. U字型の管…濃厚溶液側に一定以上の圧力をかけると…希薄溶液側に移動させることができる。
正しい。浸透圧を上回る圧力をかけて水の流れを逆転させるのが「逆浸透」です。
4. 実用化されている逆浸透膜には、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド系などが用いられる。
正しい。RO膜材料として、(歴史的に)酢酸セルロース系、現在主流として芳香族ポリアミド系(複合膜)が広く用いられることは、公的資料でも整理されています。
5. ナノろ過法は、逆浸透膜より操作圧力が高くなるが、塩化ナトリウムの除去率を高めることができる。
誤り。ここは「圧力」と「NaCl除去」の両方が逆です。
- 操作圧力:国土交通省の膜処理技術資料の表では、NFの操作圧は「100kPa~数MPa」、ROは「MPa~10MPa」と整理され、一般にROの方が高圧です。
- NaCl除去率:水道技術研究センター(JWRC)のNF膜に関する報告でも、NFは「NaClの阻止(除去)性能はROほど高くない」と明確に述べられています(NFの定義例としてNaCl阻止率が90%以下等も示されています)。
したがって「NFの方が高圧」「NFの方がNaCl除去率を高められる」という記述は不適切で、5が誤りです。
問題を解くポイント
- まず浸透→逆浸透の方向を言葉でイメージする(薄い→濃いが浸透、圧力で逆向きがRO)dupont.com
- 圧力は基本的に RO > NF(脱塩を強くやるほど圧力が要る)。
- NaClの除去は基本的に RO > NF(NFは一価塩の阻止がROほど高くない、が頻出)。


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