公害防止管理者の受験資格はある?資格認定講習の受講資格を解説

公害防止管理者の受験資格はある?資格認定講習の受講資格を解説
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公害防止管理者は、環境関連法に基づき特定工場で選任が義務づけられる国家資格です。資格を取得する方法には国家試験と資格認定講習の2通りがあり、それぞれで受験資格やプロセスが異なります。自分にとって有利な条件で資格を得るためにも、具体的な条件を知ることは大切なことです。

この記事では、公害防止管理者国家試験の受験資格と認定講習の受講資格について、公式情報を踏まえて詳しく解説します。両者の特徴を比較して利点を把握することで、みなさんにとって資格取得に関する最適な選択ができることを願っております。

目次

公害防止管理者の受験資格はある?

さて、公害防止管理者の国家資格を目指すにあたって、受験するのに満たさなければいけない条件はあるのでしょうか?

結論から言えば、公害防止管理者の国家試験に受験資格の制限はありません。すべての区分を自由に受験できます。さらに、水質や大気に設定されている第1種から第4種の種別に関しても特定の条件を満たす必要はないので、自分の受けたい区分の国家試験を受けられます。

これに関しては、国家試験の運営団体である「一般社団法人産業環境管理協会」のウェブサイトでも次のように述べられているので明らかです。

国家試験には、受験資格はあるか?

  1. 一切制限はありません。どなたでも受験できます。
一般社団法人産業環境管理協会「よくある質問」より引用

環境技術系の国家資格試験としては珍しく、特定工場に勤務していない学生や社会人でも挑戦できます。ただし、試験範囲は大気汚染や水質汚濁など多岐にわたり、合格率は例年20~30%前後と難易度は高めです。十分な事前勉強が必要であり、科目合格制度の活用も検討するとよいでしょう。

公害防止管理者の認定講習とは?

実のところ、公害防止管理者の資格取得は国家試験に合格するだけではありません。資格認定講習という仕組みがあります。これは特定の条件を満たした人を対象に講習と修了試験を実施し、それに合格すれば国家試験の合格と同等の資格が得られる制度です。

つまり、国家試験を受けずに公害防止管理者になれる唯一の方法なわけです。通常、認定講習は毎年11月頃から翌年3月頃に実施されます。2024年よりEラーニングとコンピュータ試験に一本化されて、従来よりも受講しやすい環境が整えられています。

資格認定講習の受講資格

それでは、公害防止管理者の資格認定講習は、どのような条件を満たすと受けられるのでしょうか?

結論から言えば、認定講習を受講できるのは「(1)一定の技術資格を保有していること」または「(2)関連分野の所定の学歴・実務経験を有していること」のいずれかを満たす人に限られます

講習ごとに細かな条件が定められており、受講希望者は技術資格枠と学歴・実務経験枠のいずれかの該当を確認する必要があります。以下、この2つの要件について具体的に説明します。

その1 技術資格を保有していること

公害防止管理者の認定講習では、環境・技術系の国家資格等をすでに持っている人が受講対象となります。例えば、技術士で環境保全や化学など所定の選択科目に合格している方、あるいは環境計量士(濃度関係)の資格を有する方は「技術資格」の要件を満たします。

そのほかにも、エネルギー管理士、ボイラー技士、薬剤師免許等の公害防止管理に関連するエンジニア資格も区分ごとに指定されています。具体的に言うと、大気関係第1種では技術士や環境計量士が該当し、第3種ではエネルギー管理士や第一種電気主任技術者など複数の資格が認められています。

上位種別ほど高度な資格が要求される傾向があり、公式リストに掲載された国家資格を有することが受講の前提です。

その2 所定の学歴・実務経験を有していること

上記の技術資格を持たない場合でも、環境関連分野の学歴と実務経験の組み合わせによって認定講習を受講できるケースがあります。具体的には、「大学で工学・化学・薬学の課程を修めて卒業し、大気汚染防止設備の維持管理に3年以上従事した」などの条件を満たせば受講資格となります。

最終学歴が短大・高専卒の場合は5年以上、高校卒の場合は7年以上、それ以外の場合は10年以上の公害防止実務経験が求められるなど、学歴が低いほど長い実務経験年数が必要と定められています。

水質関係第2種や第4種では大学卒+3年、短大卒+5年といった基準が適用されます。一方で、大気関係第1種のように学歴・経験枠では受講できない区分も存在し、これらは技術資格を有する方のみが対象です。自分の経歴が条件に合致するか、産業環境管理協会の最新の案内書で確認しておきましょう。

国家試験と認定講習の違い

公害防止管理者の国家試験ルートと認定講習ルートは、資格取得後に得られる権限は同じですが、過程にはいくつかの違いがあります。ここでは3つの観点で両者を比較します。

違い1 試験方法

第1に、国家試験は年1回実施の筆記試験、認定講習は年数回実施の講習受講+修了試験です

国家試験は毎年10月初旬の日曜日に全国9都市で一斉に行われ、マークシート形式の筆記試験によって知識の習熟度を判定します。受験者は独学や講習会で勉強し、この一発試験に臨むことになります。

一方、認定講習は毎年11月~翌3月にかけて複数回開催され、eラーニング講義の受講と修了試験の両方に合格することで資格取得となります。講習はオンデマンド配信の動画を視聴する形式で、ネット環境があれば職場や自宅で受講可能です。修了試験はコンピュータ試験のため、全国47都道府県のCBT会場で希望日時に受験できます。

このように、国家試験は一日限りの筆記テストなのに対し、認定講習は一定期間の講義課程とその後の試験というプロセスの違いがあります。

違い2 費用・期間

第2に、認定講習の方が取得までに必要な期間と手間が長く、費用負担もやや大きくなります

国家試験は申し込みから合格発表まで約半年のサイクルですが、試験自体は1日で完結します。受験料も区分ごとに約1万円台と比較的低廉です。

これに対して、認定講習では、講習の受講期間は標準で28日間に設定されており、毎日1~2時間程度のペースで全講義を視聴する必要があります。受講開始時期が遅いと期間が短縮されるため、計画的に受講しなければなりません。

また、認定講習には講習受講料が別途かかります。

スクロールできます
講習区分人件費講師謝金・旅費会場借料印刷費臨時用役費通信運搬費その他借室料管理費受講料合計
大気・水質関係 第1種23,5012,9724,987157471,1648,8342,2765,56249,500
大気・水質関係 第2種<br>ダイオキシン類関係18,2792,3113,879122379056,8711,7704,32638,500
大気・水質関係 第3種19,9402,5224,232134409877,4951,9314,72042,000
大気・水質関係 第4種14,2431,8013,02395297055,3541,3793,37130,000
特定粉じん関係10,6821,3512,26772215294,0151,0342,52822,500
一般粉じん関係9,9701,2612,11667204943,7489652,36021,000
騒音・振動関係22,0772,7924,685148441,0938,2982,1385,22546,500
公害防止主任管理者26,8253,3925,692180541,32810,0832,5986,34956,500

ただし、講習はオンライン受講のため出張費や会場費は不要であり、働きながらでも自分のペースで進められるメリットもあります。

違い3 合格率・難易度

第3に、総じて認定講習ルートの方が合格率は高いものの、どちらも難易度は決して低くありません

国家試験は先述の通り合格率20~30%前後で推移しており、出題範囲の広さや計算問題の難しさから難関資格の一つに数えられます。一方、認定講習は受講者が一定の資格・経験を持つ社会人に限られていることもあり、修了試験の合格率は全区分平均で約53%とやや高めです。

令和6年度には受講者2,202名中1,166名が合格しており、区分によっては80~100%と高合格率のものも存在しました。それでも半数近くは不合格になる計算であり、講習を受けさえすれば楽に受かるというものではありません。

修了試験も各科目で0点があると不合格になるなど基準は厳格で、事前に市販の過去問題集等で十分な学習と対策をしておく必要があります。

どっちを目指したらよいのか?

これに関しては、受講資格を満たせるならば、資格認定講習を受けることをおすすめします。先に論じたとおり、国家試験よりも合格率が高く、自分のペースで体系的な講義を受けられるのも大きな利点です。最新の環境法規や公害対策を学び直すよいきっかけになると考えられます。

とはいえ、資格認定講習を受けたからといって合格が保証されるわけではありません。その意味では、修了試験の結果や学習の進捗度に応じて、国家試験を受けることも選択肢として考慮すべきでしょう。

まずは、自分が保有している技術的資格を整理することに加えて、学歴と実務経験を含めて受講資格の有無を確認することから始めてください。受講資格の詳細は、一般社団法人産業環境管理協会が出している手引きをチェックしましょう。

認定講習も簡単ではない

国家試験を受けるよりも資格認定講習を受講したほうが公害防止管理者になりやすいと思う方もいるかもしれません。けれども、認定講習も修了試験があります。その内容は非公開ですが、出題形式は国家資格と同じ選択式です。したがって、同じような問題になる可能性が高いと考えられます。

認定講習を受けても国家試験を受けれられないわけではないので、両方のルートで準備を進めておくのが賢明だと思います。実際、どちらの道を選んでも、公害防止管理者としての知識と責任を身につけることが環境保全への第一歩となるはずです。

最後に、公式情報は毎年更新されますので、受験願書や講習案内の最新版を必ず確認してください。本記事の出典一覧も参考に、公的機関が発信する最新情報を入手して万全の体制で資格取得に臨みましょう。

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本記事の監修者

1990 年生まれ。慶応義塾大学福澤諭吉文明塾 CP7期生。公共法政策修士(東北大学)。 研究分野はレジリエンスの社会政策。2017年より東日本国際大学・福島復興創世研究所の准教授として福島復興の研究及び環境回復・経済復興・心の復興に係るプロジェクトに携わる。2019年より独立し、オウンドメディアの開発・運用、データ解析、SEO対策などマーケティングに関わるサービスをワンストップで提供。バンタンクリエイターアカデミー、KADOKAWAドワンゴ情報工科学院の講師。福島県総合計画審議委員会の審議員を歴任。

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