公害防止管理者の過去問|令和7年 水質概論 問8 問題と解説

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問題8

有害物質の生体影響に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. メタロチオネインは、カドミウムや水銀によって肝臓で誘導生合成され、これらの金属の毒性を強める。
  2. 化学物質の毒性を表現するものとして使用されるLD50(半数致死量)は、急性毒性を中心に評価したものである。
  3. メチル水銀は、血液-脳関門を通過して、脳にも高い蓄積を示す。
  4. 遊離シアンは、血液中でシアノヘモグロビンを生成し、ミトコンドリアの電子伝達系を阻害する。
  5. 有機りん剤の毒性は、主にアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害することに起因する。

問題8の解答

正解は「1」です。

問題8の解説

本問は、「有害物質の代表的な毒性発現機序」と「生体防御(解毒)機構」を正確に押さえているかを問う定番です。特に、メタロチオネイン(MT)=重金属を結合して“毒性を弱める側”という基本が鍵になります。

1. メタロチオネインは…毒性を強める(誤り)

誤り。メタロチオネイン(Metallothionein: MT)は、カドミウム(Cd)などの金属曝露で肝臓等に誘導され、金属イオンを高親和性に結合して“遊離(反応性)金属”を減らし、毒性を低減する方向に働くことが一般的理解です。実験研究でも、MTがCd毒性に対して保護的(detoxification / protective)に働くことが示されています。 したがって、「MTは…毒性を強める」は逆であり、この選択肢が誤りです。

2. LD50は急性毒性を中心に評価(正しい)

正しい。LD50(半数致死量)は、一定条件下で試験集団の50%が死亡する用量で、主として急性毒性(acute toxicity)の指標として用いられます。労働安全衛生系の解説でも、LD50が毒性比較のために使われ、急性毒性評価で用いられる趣旨が説明されています。

3. メチル水銀は血液-脳関門を通過し脳に蓄積(正しい)

正しい。メチル水銀(MeHg)は血液-脳関門(BBB)を通過しやすく、中枢神経系に蓄積し得るため、神経毒性が問題となります。毒性学の総説・学術論文でも、MeHgがBBBを通過して脳に蓄積しうることが述べられています。

4. 遊離シアンは…(概ね正しい:主機序は電子伝達系阻害)

結論としては“正しい扱い”でよい(ただし用語は注意)。シアン化物(cyanide)の本質的毒性は、ミトコンドリア電子伝達系のシトクロムcオキシダーゼ(複合体IV)を阻害し、酸化的リン酸化を停止させる点にあります。

一方、血中では(解毒・治療の文脈を含め)メトヘモグロビンがシアンと結合し、“cyanmethemoglobin”を形成することが解説されています。 設問文の「シアノヘモグロビン」という表現は厳密には揺れがありますが、国家試験レベルでは、“電子伝達系阻害が主機序”を押さえていれば本肢は誤りとはしないのが通常です(誤り肢は1で十分に一意になります)。

5. 有機りん剤毒性=アセチルコリンエステラーゼ阻害(正しい)

正しい。有機りん剤(OP)の急性毒性は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害によりアセチルコリンが蓄積し、ムスカリン・ニコチン作用が過剰になることが中心機序です。毒性学レビューでも「主要機序はAChE阻害」と明記されています。

問題を解くポイント

  • メタロチオネイン(MT)=重金属を“結合して無害化方向”が基本(「毒性を強める」は逆)。
  • LD50=急性毒性の代表指標(慢性毒性や発がん性などは別指標で評価)。
  • メチル水銀=BBB通過→中枢神経系への影響
  • シアン=電子伝達系(複合体IV)阻害が主機序。
  • 有機りん=AChE阻害が中心。
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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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