
公害防止管理者の燃焼計算は捨てたほうがいい?解き方のポイントを解説

公害防止管理者の大気区分では、燃料の燃焼に関する計算問題が毎年のように出題されています。暗記問題と比べて、「計算問題は難しい」というイメージがあるかもしれませんが、基礎を習得しさえすれば得点源にできる分野という見方もあります。
実際のところ、公害防止管理者の燃焼計算は捨てたほうがいいのでしょうか?
この記事では、公害防止管理者の燃焼計算について解説しています。解き方のポイントも紹介しているので、大気区分で受験を考えている人たちは参考にしてみてください。
燃焼計算とは?
公害防止管理者の国家試験で出題される「燃焼計算」とは、燃料中の炭素や水素などの成分量から理論的に必要な酸素量や空気量を求めて、燃焼後の排ガス発生量やガス中のCO2濃度を計算する問題を意味しています。
要するに、化学反応式に基づいて、「燃料を完全燃焼させるために空気をどれだけ送り、どれだけの燃焼生成物が出るか?」を数値で求める計算です。大気特論の科目では、毎年出題されており、環境や燃焼高額の基礎知識を問う内容になっています。例えば、次のような問題が出題されます。
組成(質量%)が炭素87.0%、水素13.0%である重油を専焼している燃焼装置がある。CO2を削減するため、重油にエタンを混焼する方式に切り替える。このとき低発熱量基準で、エタンの燃焼により発生する熱が全発生熱量の18%となる条件とする。
混焼時に低発熱量当たり発生するCO2(m3N/MJ)はおよそいくらか。
ただし、重油とエタンの低発熱量をそれぞれ、42.5MJ/kg、63.8MJ/m3Nとし、両燃料とも完全燃焼を仮定する。
- 3.1×10-2
- 3.3×10-2
- 3.5×10-2
- 3.7×10-2
- 3.9×10-2
令和6年度 公害防止管理者 大気特論から引用
ぱっと見だけでも、計算問題に慣れていないと難しい印象を持つかもしれません。しかし、解き方さえ知っていれば、問題それ自体が難しいわけではないのがポイントです。
燃焼計算は捨てたほうがいい?
結論から言えば、燃焼計算の問題を安易に捨てるのはおすすめできません。
なぜなら、大気特論の科目合格基準は15問中9問以上であり、理論を理解していさすれば解ける燃料計算は重要な得点源になる可能性が高いと考えられるからです。
他の簡単な問題を先に解いて時間配分を調整し、燃焼計算の2問にも最後まで手を付ける方が賢明な選択であると言えるでしょう。したがって、燃焼計算を「捨て問」にせず計算のコツを身につけて挑む方が安全策と言えます。
燃焼計算が難しいと言われる理由
燃焼計算が難しいと言われる理由は大きく3つあると考えられます
理由1 化学式にアレルギーがある
第1に、化学式を見ただけで複雑な印象を持つアレルギーのような心象が原因であると考えられます。
特に、私大の文系卒ならば、「C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O」のような化学式に馴染みがないので、「なんだか難しい……」というイメージを持つのも無理はありません。
とはいえ、公害防止管理者の試験内容は理系の分野が絡んでくるので、ここで弱点を克服しておかないと勉強を始めたものの続かなくなるかもしれません。
理由2 解くまでの手順が多い
第2に、暗記問題と比べて解くまでの手順が多いのも難しいという感覚を抱かせる要因であると推察されます。理論酸素量、理論空気量、燃焼ガス量など専門用語が次々に出てきて計算手順が複雑に見え、途中で混乱しがちです。
けれども、プロセスを適切に理解しさえすれば、応用しやすい知識です。そのため、化学式が変わっても、解き方の本質は変わらないため、得点源になるという見方もできるわけです。
理由3 新傾向の問題も出る
第3に、燃焼計算は過去問とは違う形式で出題されることもあります。したがって、暗記を中心に学習している人たちにとっては、ぱっと見でよくわからない問題に見えてしまう可能性があるわけです。
さらに、燃焼計算は計算過程が多段階にわたるため、他の暗記系の問題に比べて解答に時間を要します。試験本番で時間的プレッシャーが加わると焦りにつながり、難しく感じる一因となります。
燃焼計算の解き方のポイント
ここからは、燃焼計算を攻略するためのポイントを3つ解説します。
ポイント1 必要な公式・反応式を暗記する
はじめに、必要な公式・反応式を暗記してすぐ使えるようにすることが重要です。
理論酸素量や理論空気量の算出式、燃焼ガス量の公式など、燃焼計算には問題を解くのに使用する公式があります。例えば、次のような計算式は覚えておくとよいでしょう。
- 理論酸素量(O₀)= 1.87c + 5.6h + 0.7s (※c,h,sは燃料1kg中の炭素・水素・硫黄の質量[kg])
- 理論空気量(A₀)= O₀ / 0.21 ≒ (1.87c + 5.6h) / 0.21 (※硫黄分は無視可能な場合が多い)
- 燃焼ガス量(湿り)= m・A₀ + 5.6h (※mは空気比)
これらの公式さえ覚えておけば、与えられた燃料成分から必要な酸素量・空気量を計算し、燃焼後のCO₂生成量や濃度まで導けます。その意味では、「公式に数字を代入するだけで答えがわかる問題を捨てるのはもったいない」とも言えるのです。
ポイント2 単位を活用して計算の筋道を立てる
続いて、単位(次元)を活用して計算のプロセスを明確にしましょう。
計算式を思い出せない時でも、問題に記載されている数値の単位に着目することで式の組み立て方を推測できます。問題文中の数値には必ず単位(kg、m³、% など)が付いており、求めたい答えの単位も決まっています。
例えば、「〇 m³のガスに含まれる成分が一日あたり〇 kg発生」といったデータがあれば、「kg/日」を「m³」で割れば「kg/m³・日」のように単位が整う、といった具合です。
計算用紙には数字だけでなく必ず単位も書き込み、掛け算・割り算しながら単位が最終的に求める単位と一致するか確認しましょう。この次元チェックの習慣により、計算ミスを防ぐとともに途中式の検算にも役立ちます。
ポイント3 過去問を解く
最後に、過去問から出題パターンを把握して繰り返し練習することが大切です。
大気特論では第3問・第4問あたりにほぼ毎年燃焼計算が出題されており、燃焼反応式と空気量から燃焼ガス量や濃度を求める問題が定番です。パターンは限られているので、典型的な問題を一通り解き方ごと暗記してしまえば、あとは数字が変わるだけで対応できます。
最初は理解に時間がかかるかもしれませんが、一度コツを掴んでしまえば確実に得点できる分野です。過去問題を繰り返し解いて出題の型に慣れておけば、本番でも落ち着いて計算手順を再現できるでしょう。
新傾向の問題が出ることもありますが、「公式を使う」というツールの次元は同じです。まずは過去問を完璧に理解しておきましょう。
まとめ:暗記よりも計算のほうが確実!
燃焼計算問題は敬遠されがちですが、暗記頼みの受験テクニックに走るより、基本公式を覚えて計算手順を身につけた方が確実に正解を導けます。
計算過程を理解していれば多少ひねった問題にも対応でき、ケアレスミスやひっかけにも惑わされにくくなるメリットがあります。
実際、燃焼計算は一度パターンを覚えてしまえば安定して得点源にできる分野です。公害防止管理者試験の合格を確実なものにするためにも、暗記に頼らず計算で攻める姿勢が大切と言えるでしょう。


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