
公害防止管理者になりたい人が始めるべき5つの準備【初心者向け】

みなさんのなかには、環境技術に関する資格として「公害防止管理者」の受験を検討している人たちもいるはずです。この資格は、工場などで公害対策を担当する国家資格です。
環境規制の厳格化に伴い、特定工場の要件を満たす企業には、公害防止管理者の選任が義務づけられています。したがって、資格保有者の需要は高くなり、今後ますます重要性が増すと考えられます。
とはいえ、公害防止管理者の試験は幅広い環境知識が問われる難関試験であり、簡単に取れるようなものではありません。だからこそ、適切な準備が必要です。そこで本記事では、「公害防止管理者になりたい」と思っている初心者向けに今すぐ始めるべき5つの準備と合格のポイントをわかりやすく解説します。
公害防止管理者とは?
公害防止管理者は、大気汚染や水質汚濁などの公害発生施設を有する事業所で、公害対策の実務を担う専門技術者です。日本では1971年制定の「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」により、公害防止管理者を中心とした公害防止組織を工場内に整備することが義務づけられています。
公害防止管理者の国家試験は毎年1回で10月頃に実施されます。受験に年齢や学歴などの制限はないので、どなたでも挑戦できます。公害の内容に応じて大気・水質・騒音振動・粉じん・ダイオキシン類など計13種類の区分に分かれており、合格するとその区分ごとの資格証が交付されます。
なお、所定の認定講習で資格を得ることも可能です。けれども、講習の受講要件は実務経験などの厳しい条件で設定されているので、未経験者は国家試験を受けるのが一般的です。

公害防止管理者になりたい人が始めるべき5つの準備
それでは、公害防止管理者の試験を目指そうと思ったら、具体的に何を準備すればよいのでしょうか?
ここでは、公害防止管理者になりたい人が始めるべき5つの準備について紹介します。
その1 受験する区分を決定する
第1に、自分が受験する区分を決定しましょう。
公害防止管理者試験は、大気関係第1~4種、水質関係第1~4種、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、公害防止主任管理者の合計13区分あります。区分ごとに出題範囲や扱う公害の種類が異なるため、自分の興味や職場で求められる分野に合った区分を選ぶことが重要です。
例えば、化学プラントに勤務していて水質汚濁の管理が必要な方は「水質関係」の区分、製造現場でばい煙や粉じん対策に関わるなら「大気関係」や「粉じん関係」の区分が適しています。
難易度に多少差はありますが、いずれの区分も国家試験で合格率は数割程度と決して容易ではありません。安易に「合格しやすそうな区分」を選ぶより、自身の将来のキャリアや現場ニーズに合致した区分を選定しましょう。必要なら複数の区分を段階的に取得することも視野に入れ、自分にとって最も意味のある区分から取り組んでください。

その2 現在の実力を判定する
第2に、現時点での自分の知識レベルを把握しましょう。
先ほども述べたとおり、公害防止管理者試験では、環境工学や化学、関連法規など幅広い知識が問われます。まずは公式サイトや参考書で試験科目と出題範囲を確認し、自分がどの程度理解しているかを診断するのがよいでしょう。
特に、未習熟の分野を洗い出すため、可能であれば過去問集やインターネット上の練習問題を入手し、1度解いてみることをおすすめします。勉強してから問題を解くのではなく、まずは国家試験で出題される問題にいち早く触れることで、今の状態との差分が明らかになります。
その3 学習スケジュールを立てる
第3に、受験日までの学習スケジュールを立てましょう。
試験日までの期間から逆算して、各科目に割く勉強時間やペースを決めます。一般的には、公害防止管理者の勉強時間は100〜150時間以上の学習時間を要すると言われていますが、専門知識がない初心者の場合は200〜250時間の勉強が必要になると考えておきましょう。
公害防止管理者試験は出題範囲が非常に広い一方、各科目の出題数は多くありません。そのため、全てを網羅的に勉強しようとすると膨大な時間がかかるため、計画的かつメリハリのある学習が求められます。特に、働きながら勉強するなら効率的な学習が不可欠です。
毎日コツコツやるのが一番よいのですが、短期集中で受験を検討しているならば、試験勉強に使える時間を確保できる計画を立てましょう。
その4 過去問を解く
第4に、過去問演習は合格対策の基本です。
公害防止管理者試験は例年、似たような形式や分野から出題される傾向があるため、過去5年分程度の問題を繰り返し解いて出題パターンに慣れておきましょう。実際、独学でも無料公開されている過去問題とテキストを活用すれば十分対応可能です。
ただし、過去問の答えが必ずしも現在も正しいとは限りません。特に、統計や調査データは毎年、微妙に変化する可能性がありますから、答えが状況に応じて変わるかどうかを考慮したうえで問題を解くよう心がけてください。

その5 定期的に実力を試して弱点を補う
第5に、学習の途中で定期的に模擬テスト等で実力を測定し、弱点を洗い出して補強しましょう。
「本番で実力を発揮できるか?」は試験勉強で最も大切な課題です。普段は簡単に解ける問題でも、少し内容が変わっただけで対応できなくなるのは本質的に理解していないからです。それをはっきりさせるために、模試は有効な手段となります。
また、試験を受けることに慣れておけば、本番での対応力も自然と身についていくはずです。定期的な実力チェックと弱点補強を繰り返すことで、試験本番までに全科目をバランスよく仕上げることができるので、余裕のある方は選択肢として検討しておきましょう。
公害防止管理者に合格するためのポイント
最後に、公害防止管理者の国家試験に合格するポイントを確認しておきます。
ポイント1:全科目を偏りなく対策する
公害防止管理者試験ではすべての試験科目で合格基準を満たす必要があります。言い換えれば、1科目でも基準点に満たないと試験区分全体の合格になりません。そのため、苦手科目を捨てて他で挽回するという戦略が通用しないのです。
以上のことから、全科目をバランスよく学習することが合格の絶対条件です。学習計画を立てる際は、得意分野だけでなく不得意分野にも十分な時間を割り当てましょう。各科目の出題数に応じて配点も決まりますから、科目ごとに合格ラインを下回らないよう均等に得点力をつけていく必要があります。
ポイント2:最新の環境情報と法令を押さえる
公害防止管理者試験では、環境問題に関する時事問題や最新動向が問われることがあります。特に、公害総論や水質概論では、直近の環境問題や施策に関する出題も珍しくありません。具体例としては、PFASやPFOS等の問題が令和6年と令和7年に出題されています。
そのため、対策として環境省や自治体が発行する環境白書やニュースリリースに目を通し、最新の公害・環境トピックを把握しておくと良いでしょう。最近の大気汚染物質規制の強化動向や、水質汚濁に関する新たな基準値の策定など、テキスト執筆時点では載っていない情報が試験で問われる可能性があります。
加えて、関連法令の原文を一通り読むことも効果的です。環境基本法や各種公害防止関連法の条文そのものを問う問題が出ることもあります。余裕があれば法令集を参照し、主要な条項や定義を確認しておきましょう。法改正があった部分や新設された制度などは特に注意が必要です。
ポイント3:科目免除等を活用する
公害防止管理者に受かるためのポイントとして、科目免除制度も重要な選択肢になります。
試験制度には2つの免除パターンがあります。まず、同一試験区分を受験する場合、一部の科目に合格すると、最初に合格した年を含めて3年以内は合格科目が免除されます。例えば、6科目中4科目に合格した場合、残り2科目だけを受験して合格すれば資格取得できます。
次に、既に公害防止管理者資格を取得している場合、別の試験区分を受験する際に共通科目が免除されます。令和6年度のデータから、免除申請なしの一発合格率は約3.1%にとどまる一方、免除申請ありは33.8%と大幅に上昇します。
科目免除制度を戦略的に活用することで、難易度の高い試験でも着実に資格取得へ近づくことができるのです。詳細は以下の記事を読んでみてください。

これから希少性が増していく大切な資格!
公害防止管理者の資格保有者は確実に高齢化しています。受験者数も緩やかに減少していますから、今後、希少性が増していく重要な資格になる可能性が高いです。そのため、若い世代で公害防止管理者を取得することは、社会的にも貴重な戦略になると考えられます。
害防止管理者の資格取得は決して簡単ではありませんが、合格後には環境保全のプロフェッショナルとして活躍できる大きなチャンスが待っています。将来的に希少性が増すと言われるこの大切な資格を手にし、これからの環境分野でぜひ飛躍してください。


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