みなさんのなかには、勤めている会社から公害防止管理者の認定講習を受けるように指示された人たちもいるはずです。とはいえ、働きながら勉強するのは大変ですから、修了試験を受けた後に不合格通知をもらった人もいるかもしれません。
この記事では、「公害防止管理者の認定講習に落ちたらどうする?」という疑問について考察しています。また、認定講習の合格率や過去問の有無にも言及しているので、公害防止管理者の認定講習を既に受けた人あるいは、これから認定講習を受ける予定の人たちは参考にしてみてください。
公害防止管理者の認定講習とは?
公害防止管理者の認定講習とは、公害防止管理者に必要な知識を習得するためのプログラムです。受講後、修了試験に合格すれば、国家資格に合格した場合と同等の資格が付与されます。国家試験を受けなくとも公害防止管理者になれるわけです。
しかし、誰でも自由に認定講習を受けられるわけではありません。技術資格あるいは学歴・実務経験資格を有する人が書類審査を通過した後に受講できる仕組みになっています。技術資格及び学歴・実務経験資格の条件について知りたい方は、「公害防止管理者等資格認定講習案内書(WEB 版)」をチェックしてください。年度ごとに情報が更新されているので、最新版を確認しましょう。

認定講習は公害防止管理者の試験範囲に対応する授業をeラーニング形式で受講します。受講期間は原則として28日間に設定されているので、期間内に動画授業の視聴を終えられるように計画的なスケジュールを立てることを心がけてください。
公害防止管理者の認定講習の合格率
先述の通り、公害防止管理者の認定講習は受けたからと言って国家資格が自動的に付与されるわけではありません。国家試験と同等のレベルに準ずる修了試験に合格する必要があります。そこで、気になるのが受講者の合格率ですよね。
「公害防止管理者等資格認定講習の受講状況等の報告」では、2024年における全体の受講者数2,202名中、修了者は1,166名であると報告されています。したがって、認定講習の合格率は約53%であると計算できます。区分別の合格率は以下の表に示しているとおりです。
区分 | 実受講者数 | 修了者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
1.大気関係第1種 | 10 | 8 | 80% |
2.大気関係第2種 | 71 | 40 | 約56% |
3.大気関係第3種 | 491 | 263 | 約53% |
4.大気関係第4種 | 432 | 224 | 約52% |
5.水質関係第1種 | 15 | 13 | 約87% |
6.水質関係第2種 | 563 | 280 | 約50% |
7.水質関係第3種 | 21 | 14 | 約67% |
8.水質関係第4種 | 173 | 107 | 約62% |
9.騒音・振動関係 | 330 | 158 | 約48% |
10.特定粉じん関係 | 3 | 3 | 100% |
11.一般粉じん関係 | 48 | 24 | 50% |
12.ダイオキシン類関係 | 43 | 31 | 約72% |
13.公害防止主任管理者 | 2 | 1 | 50% |
合計 | 2,202 | 1,166 | 約53% |
区分別の合格率を見ると、それぞれに開きがあることがわかります。通常の試験よりも合格率が高い傾向にはあるものの、認定講習だからといって楽に受かるような仕組みにはなっていないので、油断しないように注意してください。
公害防止管理者の認定講習に落ちたらどうする?
合格率を見ると、全体では半数の人たちが不合格になることがわかります。実際のところ、公害防止管理者の認定講習に落ちたら、どうすればよいのでしょうか?
残念ながら、公害防止管理者の認定講習には、修了試験に落ちた人を救済する措置はありません。再講習の制度も設けられていないため、受講者は国家試験を受けて資格を取得するしかないのです。これに関しては、一般社団法人産業環境管理協会の公式HPに明確に記載されています。
一般社団法人産業環境管理協会の公式HPより引用
- 再講習や修了試験のみの受け直し等の優待制度はありません。
また、科目合格制度も導入されていないため、国家試験が一部免除されることもないので、一般受験者と全く同じ条件でテストに合格しなければいけません。したがって、公害防止管理者の認定講習に落ちた人は、国家試験に備えて勉強のスケジュールを立て直すことから始めましょう。
修了試験の過去問はどこにあるのか?
修了試験に落ちたときの救済措置がない以上、認定講習は何とかして合格しておきたいですよね。中には、修了試験の過去問を事前に解いて対策したいと考える人たちもいると思いますが、どこにあるのでしょうか?
残念ながら、公害防止管理者の認定講習で実施される修了試験は非公開となっているため、受講者がアクセス可能な過去問は存在しません。
CBT試験をサービスを提供しているプロメトリック株式会社が公開する「公害防止管理者等資格認定講習 修了試験」のページを見ると、試験の非公開について次のような情報が明示されています。
試験問題の非公開について
試験問題は非公開です。受験者は受験申込にあたり、以下の事項に同意いただく必要があります。同意いただけない場合は受験できません。
- 試験問題の全部又は一部(試験問題中に登場する文字に限らず、出題内容を示唆する表現も含む)を第三者に開示(漏洩)しないこと
- 上記(01)を開示(漏洩)した場合、関係法令等に基づき損害賠償請求等の措置がとられること
出題に関する情報の動画サイトへのアップロード、SNSへの投稿、インターネット掲示板への書込みなどについても、上記の開示(漏洩)とみなす場合がございます。なお、試験問題は著作権法で保護されています。
プロメトリック株式会社の公式HPより引用
この引用からも明らかなように、修了試験の情報は著作権法で保護されていることに加えて、関係者が問題の内容を公開することを禁じています。ただし、「多岐選択肢」というテストの形式は決まっています。いわゆる、問題に対して複数の選択肢から回答を選ぶ方式です。
その意味では、同じ形式を採用している国家試験の過去問を解いておいて損はありません。公式サイトに過去問が公開されているので、修了試験の対策を検討している人は一度、解いてみることを推奨します。
楽な試験ではない
公害防止管理者の認定講習は国家試験による資格付与と比較して合格率が高いため、受講すれば合格できると思われがちですが、決してそうではありません。むしろ、一定期間内で働きながら、eラーニングの授業を受けて修了試験の対策を行うわけですから、国家試験並みに大変であると考えておくべきです。
しかも、一度落ちたら再講習による救済措置はありません。すなわち、国家試験に合格する以外に資格を取る道が残されていないわけです。科目免除制度もないですから、形式的には一般受験者と同じスタートラインになると言って良いでしょう。
したがって、認定講習を受ける以上はしっかり対策して確実に受かる準備をした方が圧倒的にトータルコストが低いです。日常業務と並行しながら勉強するのは大変ですが、特定工場において必要不可欠な国家資格ですから取得によって自分の道が大きく拓ける可能性があります。
本メディアでは、公害防止管理者の受験者をバックアップする企画も検討しているので、引き続き最新情報を調べて公開していきます。みなさんが有意義な資格取得に向けて何かしらのお力になれれば幸いです。
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