水質概論は難しい?勉強法のポイントと過去問に共通する傾向も紹介!

水質概論は難しい?勉強法のポイントと過去問に共通する傾向も紹介!
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みなさんの中には、公害防止管理者の水質区分を受験する予定の人たちもいるはずです。水質区分は4種から1種まで分かれていますが、いずれも「水質概論」が共通の受験科目となっています。全体の概要を把握することが目的の科目ですから、水質に関わる以上は避けては通れません。

とはいえ、これから勉強を始めるにあたって、その難易度が気になりますよね。この記事では、「水質概論は難しいのか?」という疑問についてまとめた後、勉強法のポイントや過去問のまとめを紹介します。公害防止管理者の受験を考えている人たちは参考にしてみてください。

目次

水質概論とは?

水質概論とは、公害防止管理者試験の水質区分に共通する基礎科目で、水質汚濁の防止に関する法律や水環境の現状・汚染メカニズムを幅広く学ぶ分野です。

公害防止管理者の試験を管理する一般社団法人産業環境管理協会の公式サイトが公開する資料では、水質概論の出題範囲は以下のように紹介されています。

  • 水質汚濁防止対策のための法規制に関すること
  • 水質汚濁の現状に関すること
  • 水質汚濁の発生源に関すること
  • 水質汚濁の機構に関すること
  • 水質汚濁の影響に関すること
  • 国又は地方公共団体の水質汚濁防止対策に関すること

上記を見ると、「水質概論=水質汚濁に関する全般的な知識体系」であると結論できます。出題数は10問と比較的に少なく、6問以上の正解で科目合格となり、各問題はマークシート形式です。

水質概論は難しい?

さて、これから公害防止管理者の水質区分を受験する人にとって、気になるのが難易度ですよね。実際のところ、水質概論の科目試験は難しいのでしょうか?

当然ながら、科目の難易度は受験者の学習状況や性質によって異なるため、「難しい」と一概には言えません。その前提で水質概論の試験に共通する難しさは、出題数が少ないがゆえに1問のミスが致命傷になることにあります。具体的に言うと、10問中4問しか間違えられないわけです。

また、水質概論の内容は基礎的であるとはいえ、問題には思わぬ難問や奇問が含まれることがあります。具体的に言うと、最近の試験では、水質汚濁防止法に新しく位置付けられたPFOSやPFOAなどの有害物質に関する取り扱いや、水質測定の方法に関する細かな規定について問う問題も出題されています。

その意味では、過去問だけを解くだけでは高得点が難しい可能性があるのです。もっとも、環境系の基礎知識がある人にとっては取り組みやすいという側面もあります。けれども、「概論」だから優しそうという固定観念は捨てて、網羅的に学習を進めていく必要があるのです。

水質概論に関する勉強法のポイント

それでは、水質概論を効率的に学習するには、どうすれば良いのでしょうか?

ここでは、合格者にヒアリングした内容をもとに4つのポイントを説明していきます。

ポイント1 公式団体が出版する問題集を解く

第1に、公害防止管理者の試験を運営する一般社団法人産業環境管理協会が出版している問題集を解くことをおすすめします

試験勉強において最も重要なことは演習の回数をこなして、不明点を明らかにすることです。知識の足りていない部分を可視化して補い続けることが基本的な勉強法であると言えます。

「電話帳」とも言われる公式テキストを読んだり、ノートにまとめたりするのも大切なことですが、結局のところは「問題形式」で出された時に答えられることが重要なので、インプットとアプトプットを分けて学習するのではなく、まずは問題を解いて穴を見つけることをおすすめします。

ポイント2 過去問を解く

第2に、過去問を解いて出題形式に慣れていくことも大切です

実際、知識として覚えていたとしても、聞かれた方が異なると回答の仕方を迷ってしまうという人たちもいるはずです。目的は理解していたとしても、細かい用語までは覚えていなかったり、事実があったことを理解していたとしても、年表ごとに整理できなかったりするなど、問題の形式によって知識の使い方がうまくいかずに解けないのはもったいないです。

このような事態に陥らないためにも、過去問を解いて、「今までどのように問題が出されてきたのか?」を把握しておくことは試験対策という文脈において重要な視点となります。

ポイント3 実力試験を受ける

第3に、本番と近い形式の実力試験を受けることで今の学習状況を踏まえた勉強の計画を立てられるようになります

過去問を一通り解き終えた段階で、時間を計って模擬試験を受けてみると、得点力や時間配分など本番さながらの感覚を掴むことができます。模擬試験の結果から弱点分野やケアレスミスの傾向が見えてくるので、残りの学習計画を修正したり重点を置いたりする指針になるでしょう。

本番前に一度は試験と同じ制限時間・問題数で自己採点まで行うことで、精神的な準備にもなります。実際、インプットとアウトプットには差があることが多いので、今の自分が持っている実力を試す機会を作るのは大事な試験対策になると言えるでしょう。

ポイント4 法令を正確に覚える

第4に、水質概論では法令の条文や基準値などを正確に記憶することが求められます

出題範囲には水質汚濁防止法をはじめとした各種法規制や基準が含まれており、選択肢の微妙な違いまで理解していないと判断を誤るおそれがあります。

近年は、新規の有害物質が規制対象に追加されるなど法改正もあるため、最新の情報に基づいて暗記することが重要です。法律や基準の名称・数字・要件を正確に押さえ、曖昧な理解を残さないようにしましょう。いわゆる、暗記が必要になるので、一定の勉強時間を確保することも大切なのです。

水質概論の過去問に共通する傾向

スクロールできます
年度法令・施設関連環境基準・水質統計データ・背景資料化学物質・有害物質有害物影響・毒性地下水汚染水質汚濁機構・富栄養化計算/公式微生物指標政策・管理
R6年 (2024)3問2問1問1問1問1問1問000
R5年 (2023)3問2問1問1問1問1問001問0
R4年 (2022)3問1問2問1問1問01問1問01問

(1)法令・施設関連(毎年3問前後)

  • 出題内容:水質汚濁防止法の排水基準、総量規制式、特定施設・特定事業場の定義や届出義務など。
  • 特徴:条文や定義の言い換え問題が多く、正確な文言を理解していないと誤答しやすい。
  • ポイント:目的・適用範囲・責任主体を条文単位で押さえる。

(2)環境基準・水質(毎年2問前後)

  • 出題内容:生活環境項目(BOD・COD・N・Pなど)や水生生物保全項目(DO・亜鉛等)の基準値。
  • 特徴:河川・湖沼・海域別の基準、達成状況、生物指標との関係を問う問題が定番。
  • ポイント:基準値そのものよりも「どの水域でどの項目が重要か」を理解することが重要。

(3)統計データ・背景資料(1〜2問)

  • 出題内容:環境白書・PRTR・海上油流出件数など、実データを題材にした設問。
  • 特徴:表・グラフ・選択肢から「正しい傾向を選ぶ」形式。
  • ポイント:数字暗記よりも「超過項目」「増減傾向」を把握する。

(4)化学物質・有害物質(1問前後)

  • 出題内容:指定物質・有害物質の識別、化審法に基づく分類(第1種・第2種特定化学物質など)。
  • 特徴:名称を正確に区別する問題が多い。
  • ポイント:施行令別表の該当・非該当を対比で覚える。

(5)有害物影響・毒性(毎年1問)

  • 出題内容:重金属・有機物の毒性、NOAEL・TDI・安全係数など毒性評価指標。
  • 特徴:化学的知識よりも毒性概念の理解を問う。
  • ポイント:「濃度・暴露・作用機構」の三要素を整理。

(6)地下水汚染(近年注目)

  • 出題内容:地下水中の物質移動、密度差、地層構造と汚染拡散。
  • 特徴:移動性・密度の違いによる沈降・浮上を選ばせる問題。
  • ポイント:物理的性質の理解を中心に。

(7)水質汚濁機構・富栄養化(隔年出題)

  • 出題内容:BOD・COD・DOの関係、富栄養化過程、窒素・リンの形態変化。
  • 特徴:理科レベルの基礎概念が問われる。
  • ポイント:式暗記よりも概念図(酸素循環や湖沼成層)を理解。

(8)微生物指標(R5のみ)

  • 出題内容:大腸菌群数とE.coliの違い、測定目的。
  • 特徴:水質基準における指標生物の理解を問う。

(9)政策・管理(R4で出題)

  • 出題内容:国・自治体の上乗せ排水基準、環境政策・水質管理体制。
  • 特徴:記述的な理解を必要とする知識問題。

分類別の出題比率(令和4〜6年平均)

分類平均出題割合
法令・施設関連約30〜35%
環境基準・水質約20%
統計・時事・白書約15%
化学物質・毒性約10〜15%
地下水汚染・富栄養化など約10〜15%

「水質概論」は知識の正確さを測る科目です。そのため、専門的計算力よりも、「条文の文言」「基準値」「用語定義」「環境情勢」をどれだけ正確に把握しているかが問われます。

特に、今年の試験問題では、条文+時事(PFOS/PFOA)+基礎理科の三軸構成が明確化し、過去問の焼き直しだけでは得点が伸びない傾向が見られました。

水質概論の難易度は高い!

水質概論は「総論」とはいえ、出題数が少ないが故に間違えられないという難しさがあります。公害防止管理者の試験それ自体が「知識を正確に覚える」という勉強量が必要なので、楽して突破できるコツのようなものは提示しづらいのが実情です。

けれども、範囲が決まっている以上、試験対策のスケジュールを立てて、公式テキストの内容を演習を通じて学んでいけば、結果がちゃんと出るとも言えます。本メディアでは、一般社団法人産業環境管理協会から許可を得て、5年分の過去問に関する解説を掲載予定ですので、是非とも活用してみてください。

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本記事の監修者

1990 年生まれ。慶応義塾大学福澤諭吉文明塾 CP7期生。公共法政策修士(東北大学)。 研究分野はレジリエンスの社会政策。2017年より東日本国際大学・福島復興創世研究所の准教授として福島復興の研究及び環境回復・経済復興・心の復興に係るプロジェクトに携わる。2019年より独立し、オウンドメディアの開発・運用、データ解析、SEO対策などマーケティングに関わるサービスをワンストップで提供。バンタンクリエイターアカデミー、KADOKAWAドワンゴ情報工科学院の講師。福島県総合計画審議委員会の審議員を歴任。

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